アベリア、ユキヤナギなどが多いようだった。すっかり枯れた葉の下にファイルケース(半透明な硬い板状の製品)をさしこんで、小枝を叩いてみると1個体だけ小さい甲虫が落ちてきた。
(神戸市北区で採集)
ミツモンセマルヒラタムシの仲間 Psammoecus だった。あとで実体顕微鏡で観察して、自信満々にミツモンセマルヒラタムシP. trimaculatus と同定した。もう20個体くらいバラバラにして標本にしてるから、同定なんか簡単やね、なんて思っていた。
交尾器を取り出したら側片と中央片がバラけてしまったが、側片の形が変だ。
(雄交尾器の一部)
瓜二つの別種が三重県とかにもいるって、たしか文献に書いてあった。
文献を探しだして、交尾器の絵と標本写真を見比べてみた。
どうやら trimaculatus ではなく、ハチジョウミツモンセマルヒラタムシ P. labyrinthicus というファンタジーな種小名が付された種のほうだと思う。
生まれつき容姿に恵まれない人が寂しく暮らしていたラビリントスという建造物の話は、美女をたぶらかして魔法アイテムをゲットした勇者により侵入されてしまい、蛮虐のかぎりをつくされるという嘆かわしいオチで終わっている。なにか微妙な教訓を含んでいるような気もする神話だ。
ラビリントスの語源は「斧」を意味する言葉らしいのだけれど、交尾器の側片はなんだか斧みたいにみえなくもない。
近畿地方にはミツモン、ニセミツモン、ハチジョウミツモンの3種がいるわけだが、いったい何匹くらい調べたら肉眼で確実に区別できるようになれるだろう。これからは、採集できた枯れ葉のカビなんかにも少しは注意したい。
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