2017/11/23

勤務先の花壇のダニ

うちの事務所の玄関横は、とても乾燥した土と度重なる攪乱で、雑草も少ないミニ荒野となっている。
そんなやせた土というか粗い砂的なものを採取して、簡易ツルグレン装置(100均の金網+金属ロート+段ボール箱)にかけてみると、個体数は少ないが意外にダニが色々落ちてくる。


ヒモダニみたいな体形の、ニセコハリダニ科 Paratydeidae の ヒモニセコハリダニ
の一種 Tanytvdeus sp. とか。



体表構造が複雑な形で、それらの機能が想像できないツヨヒワダニ Malacoangelia remigera などもみられる 。




2017/11/20

テンテンヤスデ

ニセササラダニ採集のために、工場建物の周囲にたまった渇き気味の落ち葉を持ち帰り、金網にいれて落下物を検分していると、見たことのない小さなヤスデが1ペア現れた。

体の横に点々模様がついている。長さは10mmほど。



眠たそうな顔をしていてなんかカワイイ。
個眼が一列に並んで、閉じた目のような形にみえる。

雄の生殖肢先端の形状から
Choneiulus palmatus (Němec, 1895)と判断した。
ヒメヤスデ目で、Blaniulidae に含まれる。

このテンテンつきヤスデはヨーロッパ原産で、北米とオセアニアに移入。って分布なので、大阪市内で見つかっても、あんまり奇妙な感じはしない。Blaniulidaeには、かなりヤバめな農業害虫がいるらしいので、本種についても用心に越したことはないと思う。

参考URL   http://www.padil.gov.au/maf-border/Pest/Main/140590

2017/11/12

100均のスマホ用接写レンズ

小さな虫の写真をスマホから送ってもらうことが普通になっているけれど、お送りいただいた写真を拝見する限り、地球外生命体や霊界の彼方にいる存在くらいしか考えつかないような画像になってしまっているものも少なくない。
改善策として、100円均一ショップで販売されているスマホ用レンズを使用していただくようにしようと考えている。
自分でちょっと使ってみないと、実際のところがわからないので、近所を回り購入して試してみた。
商品はダイソーとキャンドゥで入手できた。セリアのは入手できなかった。

左側がキャンドゥで、右側がダイソーの商品。
同じように見えて、微妙に違いがある。


道端で見かけたルリアリに撮影モデルになってもらった。
ルリアリは、おとなしくしてもらうために、ラップを二つ折りにして挟み込んだ。

自分の携帯電話を、最近ようやくガラケーからarrows Be F-05J に変えた。そのスマホに装着してズーム最大にて撮影。夜の室内で、光源は天井照明の蛍光灯のみ。

まずはキャンドゥから。思っていたよりスゴク写る。
よくこんな暗い環境でしっかり写るものだと思う。

つぎにダイソー。あんまり変わらない。でもコッチのほうが、
わずかに腹部の体節が写っているような気もする。

ヨメのiphone6でも撮影してみた。

F-05Jの写真と比較して、かなり細かいところまで写っていた。
スマホの価格に応じて、それなりに良い写真になるということなのだろう。

当たり前な結論として、100均のレンズ自体の性能差より、スマホの性能次第で写真の仕上がりが大きく異なるみたいだ。
100均レンズは、ウチに写真を送っていただく、すべての方々に今後お勧めするつもり。








2017/11/05

ダニの鼻

ニオイでダニをおびき寄せたり、あるいは寄せ付けないグッズなんてものがあるけれど、そもそもダニに鼻とか存在するのだろうか?と質問されることがある。

実際のところ、ダニに人間みたいな鼻があるわけはない。
ダニ類は、脚先や胴体の毛の一部が化学受容器官になっていて、周囲の世界から情報収集できると考えられている。毛が鼻になっているというか、鼻毛というか、まあなんかそんなもんでニオイを嗅ぎ分けているというのは確かだろう。

ニオイを感じることができるかどうかは知らないが、形態学的に鼻(naso)と呼ばれる突起状の部位をもっているダニ類もいくつかいる。
室内塵のダニのなかでいえば、ヨコシマチビゲダニ(ヨコシマチビダニ)の一種 Terpnacarus sp. の体の先端の小突起は、鼻と呼ばれている。
でもって、鼻の下のレンズ状の部位は目だって専門書には書いてある。
鼻の下に目って・・・、体の両側にも目があるから三つ目・・・、いや、われわれ人類とはまるで関係のない生き物なので、何をどうしようと文句をいえる筋合いはないけれど。

Terpnacarusをプレパラートにしようとすると、
いつも失敗して、どうしても横向きになってしまう。

ヨコシマチビゲダニの一種は 0.3mm前後、生きているときは赤いダニで、大阪あたりなら、乾燥気味だけれどカビが生えているゴミが落ちているような建物のコンクリート床なんかでみつかる。カビなどに分解されつつある植物を食べるらしくて、ジャンプ能力がある。
ヨコシマチビゲダニ科は、ケダニ亜目(目)に含めている図鑑とか解説書が普通だったけれど、a manual of Acarology 第3版(2009)ではササラダニ亜目(目)に含めてあり、分類学的位置についても、深~い議論がある。

*ヨコスジとかって書いてしまっていたのをヨコシマに訂正(11/7)ていうかどっちだろうと誰も気にしてないやろな・・・こういうのは。