2019/11/10

ナミテントウを探せ!

ある非営利団体の活動に、会社がらみで参加しているのだけれど、そこのWEBページでなんやかやと身近な虫や家屋害虫を載せたいってことになり、会員諸氏に速やかに集めよ(無料でね ハート)と下達されたけれど、そんな虫の写真が都合よくちゃっちゃと集まるわけないやん!と思っていたら、3ヶ月ほどでスンゴイ集まった。
まあ生き物好きの団体でもないので、すべての写真の質が良好というわけではないけれど、とにかく目標としている種のほとんど集まって、集まらないのはわずかに4~5種となったが、なんでソレが集まらんの?って種が含まれていたので本日頑張って撮影に出かけた。
ターゲットは「ナミテントウ」である。

秋もかなり深まったとはいえナミテントウくらいおるやろ!と、和泉市の河川中流域を散歩してみた。
お手軽な叩き網採集法で攻めた。
クモやらアリやらばかリ落ちてきて、ナミテントウが意外に現れない。
「ナミ」とは「並(普通)」ではなく、「難見」ってことか?
それとも「波」ということかもしれんな、海の方に行くか、とかいろいろ考えながら叩き網を続けた。

小さい黄色いのが落ちてきた。写真にしてしまうとサイズもわかりにくいので、他に何も採れなければ、これもナミテントウということでもよいかもしれん。色彩変異が大きいという話だし。知らんけど。


道端の落ち葉だまりを足でかき回してみたら、よりそれらしいのが出てきた。ちょっと点々の数がおかしいような気もするがナミテントウ候補2号にしておく。


なんかちょっと、大きいのもクズの葉にたかっていた。
よそ者っぽいヤツだが、こんな色彩変異もあるかもしれん。ナミテントウ候補3号。



これは沖縄におるヤツちゃうん?最近は我が家の周辺にもおるんか!羽化失敗かな?後翅が変。こいつらもいろいろ大変なんやろな。
丸みが足らんし、ごつごつしてるのでコイツはナミテントウ候補からはずしとこ。



めっちゃ小さいヤツ。これはさすがにナミテントウ無理あるな。



これは本命っぽい。でも、点々がもっと多いヤツおらんかな。



点々はちょっと多いけど・・・。なんか違うな。でもナミテントウ候補にしておこうかしらん。少なくとも事務局の方々にはわからんやろな。


いちおうミッション終了したので、久保惣記念美術館(無料公開日)に寄ってクールベの波の絵を眺めてから帰った。

2018/12/17

トゲあるアシもつヤマシログモ

保存液が蒸散して干からびそうになった液浸標本に、アルコールをつぎ足す作業をしていると、見た目がちょっと恐ろしげなクモが入ったビンがでてきた。
1989年に、大阪市内の大きなホテルでネズミ駆除しているときに、室内壁面をはっている個体を採集したもの。
頭胸部が上下に扁平で、脚が長いので、採集当時はイトグモの仲間と思い込んでいた。
かの恐ろしいドクイトグモか?と、大急ぎで調べたが、ドクイトグモではないってことだけはすぐにハッキリしたし、見たことのないクモだけどヤバいものではなさそうなので放置していた。

体の半分しか液に漬かっていなかった標本を、久しぶりにビンから出して調べてみた。胸板をみれば、後端が突き出てなくて、なだらかに円いことから、イトグモ科ではなくヤマシログモの仲間だった。
第1歩脚の腿節に目立つ棘が列になって生えていることと、雄だったので触肢の形状から、Scytodes univittata と判断した。
インドから中東、エジプトやスペイン、南北アメリカ大陸、ハワイと、亜熱帯域を中心に地球上に広く分布している。
日本での記録は知らないけれど、たまたま外国人客とともに、ホテルに入り込んだだけの個体だったのかも。
ヤマシログモの一種の雄

雄の触肢


現在の我社には、大阪市内のビル街の駆除物件がないので、物陰に潜むクモたちの現状について知る機会は残念ながらない。

仕事とは全く関係ないけれど、ヤマシログモ科の捕食シーンは一度撮影してみたいものだと思っている。Scytodesのある種での観察によると、鋏角から送出される糸は毎秒30mという速度で、30ミリ秒だけ対象物に吹き付けられている。しかも、キレイに等間隔にジグザクさせながらである。
ホットドッグにマスタードをジグザグに吹き付けてみたことがある人ならわかると思うけど、フツーの人間には高速でキレイになんてできるわけがない。
小野展嗣編著『日本産クモ類』(2009年)の概論にも、写真が載っていて、ハエの翅にとても美味しそうに調味料(吐糸)が塗られている様子は、ほんとに神がかっている。
1ミリ秒くらいで発射角を変えているということになるけれど、いったいどんな仕掛けになっているのやら。

2018/08/19

ヒラタチャタテにくっついていた謎な前気門ダニ

仕事というものは何でも大変だけれど、小型粘着板や捕虫器に捕獲された虫を、同定して数える作業には、独特な困難が伴う。
数千個体の小型ハエ類や微小甲虫が付着した捕虫紙を、マジメに調べようなんてことは、たいていの害虫駆除会社にとって恐ろしく採算性の低い仕事でしかない。

解決法としては、給料激安でも虫が好きだからヤルよという奇特な人に働いてもらうとか、しかるべき同定手順に従ってパート女性の方々に超高速で数えてもらうという方法などが、ほとんどの会社で実施されていると思う。しかし、価格競争の波は、これらの方法でさえも、経営者にとって頭痛のタネに変えていきつつある。

虫の同定なんて重荷はAIに背負ってもらえれば、大幅な人件費削減になるんとちゃうか?と考えだすのは、まあ当たり前の方向性だろう。
20年ほど前なら光学的パターンマッチングと生物同定の組み合わせなんか、遺憾ながら喜劇的なまでに絶望な結果しか得られない技術だった。
ところが、たゆみなく進化するAI技術を使った害虫計数システムのほうは、着々と昆虫同定作業をする人間を減少させていくからねと、先日、取引先のさるお方が、ウチの無駄に詳しい同定結果表を痛ましげな面持ちで私に突き返しながら、長々とご高説をお聞かせくださった。

昆虫同定AIに課した簡単なテストの結果などをお伺いして、とある実験では90%以上の正解率とかって話だったが、実際のところは赤ちゃんがつかまり立ちしそうかな?って段階じゃねという印象だった。けれど、もうすでに実用段階に入っていて、近い将来にはどこの会社でも使うようになるとも語っておられ、不覚にも面白そうと思ってしまった。やがて成長すれば、きっとワイらの息の根を止めてくるヤツやのにね。

どんな虫も正確に同定することなんて、ヒトにもAIにもホントに期待できるのかってところも考え込んでしまう。

たぶん、高齢化が進む害虫の専門家とか、ムシにあんまり興味がなさそうなパートの女性たちが、実体顕微鏡を覗いて出す捕虫紙の分析よりは、AIのほうがもっともらしい結果を出してくる日は割と近いだろう。

ムシの分類を短期間で多数個体おこなう場合、ある程度エラーを含む結果しか得られないのはヒトも機械も同様だろう。ならば、エラー内容が安定してそうなAIのほうが、ヒトより圧倒的にコスパがよいに決まってる。


とかなんとかいいながらも、ムシやらダニやらの同定作業を続ける日々だが、生き物の世界からは人の世のしがらみとは無関係にナゾが突き付けられてくる。
室内で得られたのに、さっぱり分からなかったダニの写真を貼っておこう。



先月7月のこと、同僚から、変わった様子のヒラタチャタテ Liposcelis bostrychophila が捕獲されているという粘着板(兵庫県の建物内で使用)を受け取った。
みればこのヒラタチャタテ、仰向けになった状態で粘着剤に付着していて、その腹部にダニが乗っており、なおかつそのダニが産み落としたらしき卵まで傍にあった。
驚いたことにヒラタチャタテは、観察時点でまだ生きていた。ってことは捕食ではなく、寄生?

大きさや色合いからシラミダニの仲間やろねぇと知ったような口ぶりで、印象を述べつつ簡易プレパラートにしてみたら、まるで知らないダニだった。




顎体部には中央に周気管らしきものがみえるので、ケダニ亜目(目) Prostigmataだろうくらいしかいえない。雰囲気からはコガタコハリダニ科 Iolinidaeが 近そうに思う。そんな印象を否定するように、触指どないしたん?とか、第I~IV脚の先に変な爪間体らしきものがみえたり、ありえない具合に顎体部が突出したりしているけれど、これらは気にせずに知らんふりしておく。
ヒラタチャタテは普通にいる室内種ではあるが、こんなダニ付きの個体は初めてみた。今回見つかったダニが昆虫寄生性とすると、本来は別の昆虫に寄生しているけれど、たまたまヒラタチャタテにくっついて、卵を産んでいただけかも。

2018/05/02

河原のアナタカラダニ

ジョギングやらウォーキングやらでエネルギーを発散している方々、フラフラしてるとはね飛ばされそうな勢いで錯綜する高速度な自転車、そんな周囲をよそにのどかに進む数台のシニアカー。
これらの河原を愛する人々が、一瞬途切れた瞬間の鴨川。
自分以外に働いている人が見当たらない気さえするGW。


石組みのあたりにはアナタカラダニが多くみられた。
不用意に座ると、服に赤い小さな汚れが付くかもしれないので、岸辺でまったりしたい方々は、新聞紙とかポリ袋とかをおしりの下に敷いたほうがいいだろう。

わりと最近に冠水している感じの砂州には、アナタカラダニがいるだろうか。
いるにしても、そう多くはないだろうと思っていたが、、、、



意外に結構な数がはい回っていた。水をかぶっている間、いったいドコでどう過ごしていたのだろう。

アカバナユウゲショウの花には、まだ全然、アナタカラダニが集まっていなかった。
アナタカラダニが好む、花粉の熟れ時みたいなものがあるのかも。


2017/12/20

迷光

大きな植木鉢の下で、ノコバゼムカデが眠っていた。胴節の背に迷い込んだ光は、何色とも決めがたいキラメキになって反射してくる。



はたして大阪市内の地上で冬を越せるのだろうか?
ずいぶん昔から、大阪市内で静かに勢力を伸ばしているようにみえるムカデだけど、建物の中で見つかる割に、屋外ではあまり採集できていない。
普段は、下水管やその周囲などの、あたたかな地下の空隙で生活しているのではないかと思う。

ビルやマンションに仕掛けた粘着板で、多数捕獲されている現場に出くわすことが稀にあるけれど、穏やかな気性のムカデで、あまり共食いなどはしないため、生息密度が高くなるのかもしれない。
本種の幼体が多く捕まる場所では、オオチョウバエ成虫とか、クロゴキブリもよく捕まるので、たぶんそれらも食べているのだろう。

近頃の多脚類の世界は、身のまわりで見かける種が変化しているほかにも、分類学的な処遇にも変化があって、ずいぶんスッキリした感じになってきたみたいだ。

見たことがない珍種のスジアオムカデ O. striatus が、ノコバゼのシノニムになったなんてコトは、対岸の火事というか害虫駆除屋の立場から隔絶した話だが、トビズムカデ Scolopendra mutilans がオオムカデ  S. subspinipes のシノニムとかってコトについては、わけもなく抵抗感がわいてくる。
少なくとも私は、心情的な理由により、トビズムカデの和名を一生使い続けたい(老害?)。

日本産アカズムカデも幻として完全に消えそうだし。
医学・衛生学情報として、いくつかの専門書にアカズムカデの毒が強いなんて記述があるけれど、日本国内では関係ない話になってしまった。
それにしても台湾や中国では、ムカデ類を世界的な規模で研究してて圧倒されるが、乾燥したムカデにけっこう毒性があるらしいというあたりはホントなのだろうか?もう少し情報を集めてみたい。

2017/12/12

落ち葉の下の外来種

西淀川区の工場敷地内で、落ち葉をかき分け、コンクリートブロックをひっくり返して外来ヤスデ Choneiulus palmatus を探してみた。20分ばかり探してみたが、まったく見つからなかった。
先月採れた1ペアだけが、なにかの海外資材に紛れて、たまたま日本にやってきたなんてことはありえないだろうけど、活発に繁殖しているということもなさそうだ、なんて思っていた。

残念ながら、そんなことはなかった。


ヤスデ探しをしてから3日後に、ダニ採集用に持ち帰った落ち葉から、テンテン付きヤスデは、ようやく1個体落ちてきただけだった。でも4日後の今日、なぜか18個体もはい出してきた。



腐葉土の部位にいるわけではなくて、たぶん落ち葉の丸まった部分あたりに身を潜めていたのかもしれない。これでは、現地で見つけられないのも無理はない、と目視採集力が低いわけでは決してないと自分にいいきかせた。現地で小さなミミズを拾って、これは例のヤスデか?なんて言っていたことは早く忘れよう。

小型のヤスデなんて、だれも気にしていないだろう。いつから大阪に入り込んでいたのかを、つきとめる方法はないと思う。

カナダでは、種名が分かっている64種のヤスデのうち、なんと21種が外来種と聞く。
おそらくは日本の土壌動物の世界にも、知らぬ間に外来種の新しい波が次々とやってきているのだろう。

胴節に細い毛が生えているけれど写真に写りにくい。
よそのサイトの上手な写真では、よく写っているけど・・・。

このくらいのアップでようやく少し写っている。


ヤスデって、じっくり見ると興味深いトコロが多い。

嫌いだったがだんだん好きになってきた。
頭を触ると体長の2倍くらいバックで歩いたりすることがあるが
ヤスデはみんなこうなのか?とか、
活発に移動しているときは、あんなにたくさんある歩脚のうち、
同時に接地している歩脚は10対くらいしかないようにみえることがあって
驚かされたりとか、ロボティクスかなんかの分野で調べても面白そう。








2017/11/23

勤務先の花壇のダニ

うちの事務所の玄関横は、とても乾燥した土と度重なる攪乱で、雑草も少ないミニ荒野となっている。
そんなやせた土というか粗い砂的なものを採取して、簡易ツルグレン装置(100均の金網+金属ロート+段ボール箱)にかけてみると、個体数は少ないが意外にダニが色々落ちてくる。


ヒモダニみたいな体形の、ニセコハリダニ科 Paratydeidae の ヒモニセコハリダニ
の一種 Tanytvdeus sp. とか。



体表構造が複雑な形で、それらの機能が想像できないツヨヒワダニ Malacoangelia remigera などもみられる 。