2015/09/23

クロツヤムシの奇妙な同居人

クロツヤムシ科は熱帯を中心にはびこって朽ち木を食う虫で、およそヒトの世と縁は無く、クロくてツヤがあるムシだ。だいたいがダニったかりな連中だが、キタナくはない。

日本にも一種だけ、有名なツノクロツヤムシ Cylindrocaulus patalis がいて、四国や九州の一部のブナのある山地だけでひっそりと暮らしている。
熱帯系の昆虫というのなら、沖縄あたりにも生息していそうなものだが、なぜかみつかっていない。
そこは中生代あたりからのカラミがある説明困難で地理的な事情がナニして、現在の分布が生物地理的にアレなことになっていると思われる。





クロツヤムシ科に寄生、あるいは便乗しているダニ類については、多くのダニ学者により詳しく調べられていて、独特な多様性があることが知られている。

徳島県でツノクロツヤムシを採集したことがあったので、古い標本から同居しているダニ類を取り出して観察してみた。
トゲダニ亜目が数個体と、ヒゲダニの一種のヒポプスが1個体みつかったが、やはりツメダニはみつからない。

トゲダニ亜目は、ミヤタケクロツヤムシダニ Acaridryas miyatakei (クロツヤムシダニ科 Diarthrophalliae )だった。
日本でクロツヤムシダニ科 Diarthrophalliae は、この1種が知られているだけだが、世界からは約22属70種も報告されている。

矢印位置に奇妙なラボウルベニア目が付着していた。
スパイダーマンの敵キャラが使う触手みたい。


以前、この菌類を各種とりまぜて示してある細密な図版を見たとき、そんなバカなカタチの菌なんてあるわけがなく、マックス・エルンストかレオ・レオー二の落書きでしょと本気で思っていた。



ヒゲダニの一種は顎体部がムーミンの吻みたいでScolianoetusぽいけれど、このあたりはどの属もよく似てるし、標準的な種ですらちゃんと見たことがないのでなんともいえない。

0 件のコメント:

コメントを投稿