2015/03/08

崖の下の微小カメムシ


海辺の昆虫採集というのは良い。

打ち上げられているゴミの間を、骨を埋めたところを忘れた老犬のごとく這いずりまわったり、壁に向かって独白しているイタイ人のごとく岩壁に顔を近づけて立っていても、何をしようが周囲への気兼ねってもんがいらない。

例によって仕事の途中の休憩時間に、兵庫県南部のお気に入りの海岸で、ケシミズカメムシの一種をもう一度狙ってみることにした。暖かくなってから採集すれば、苦労せずに済みそうなのだが、海辺の仕事は寒い時期だけしかない。



淡水が絶えず染み出てくる海蝕崖で、草の根元あたりから結局3雄1雌を得た(写真左端が雌)。体長約2mm。


やっと雄が採れた。といっても雌の姿とあまりかわりない。




小さなムシの姿勢を整えたり、体表のゴミを掃除したりというのに、近頃は柄付き針ならぬ柄付きブルタックを使用しているのだが、つい意味も無く触手のような形にしてしまう弊害がある。





こんな小さいムシの交尾器を取り出すのは、技術的に困難だが雄が採れたのでチョット挑戦してみた。
まずは、タンパク質分解酵素入洗剤水溶液(トップ プレケア )とオキシドールの混合液をつくり、雄を一晩漬けておいた。
翌日みると、生殖節が飛び出していた。





生殖節を取り出したが、長さ0.23mm、幅0.17mm。実体顕微鏡でもよく見えない。こんな小さいのをどーしろと。




それでもなんのかんのやってみて、交尾器を取り出せた。失敗して一部を破損。把握器の長さは0.08mm。






把握器の形まで、はてなマークみたいだ。ここまで観察しても同定なんてできないグループだが、とても面白い。


0 件のコメント:

コメントを投稿