2015/06/07

ダニの脳髄


とめどもなく現れるアナタカラダニにたいして、玄関先でしゃがみ込んでキンチョールをかける日課の方々も、6月に入ると敵軍が急速に減少するので、きっと寂しがっていることだろう。
心配しなくても、来年の5月くらいには再びやってくる。



少し前に採集したアナタカラダニを使って、体内の構造を観察してみた。印象的なのは体部前方にある大きくてダニみたいな形の組織だ。体長の4分の1くらいの大きさがある。これは脳とか神経球と呼ばれている。
黄色い点線で囲ったあたりに脳がある。


ダニとタタリ神の雑種みたいだが、脳。


脳から周囲に神経が伸びていて、それそれが口器や脚や生殖器の方に向かっている。どの線がどの足に繋がっているのかなど、ダニの専門書に解説がある。
摘出して生かしておければ、演算素子とかに使えそう。

ダニの脳が、ダニを縮小コピーしたみたいに見えることは、観察するコチラの背筋に何かへんなゾワっとする刺激を与えてくれる。気持ちが良い悪いってコトではなく、説明困難。

なにか知らない奇妙な場所があって、隔絶した峻険さのようなものを感じつつ、チョット足を差し出してはみるけれど、どこにも足がかりがない怖さみたいな・・・。
自分には脳ってもんがあるはずだから、何かを考えたりしていると思う。
でも脳が考えるってどーいう仕組みやねんと、いくら考えても分らないあの循環参照エラーみたいな感覚の方が近いかも。

アナタカラダニは、脳は、人間は、いったいぜんたい、どれもこれもどーなってるのだろう。

炎天下のコンクリート上でアナタカラダニは、なにも考えずにグルグル踊っているとしか思えないけれど、存外、大集団でなにか複雑な思索を巡らしているような気さえしてきた。

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