2015/10/01

キアシマルガタゴミムシのダニ

淀川には、かなり広い砂原がある。深夜に歩くと、各種のゴミムシ類が歩き回っているのを見ることができる。草深き河川敷では、夜中というのに無灯火で徘徊している不審者がかなりおられるが、なかでも昆虫の観察者というのは一等不審な感じで、他の不審者からもおおいに不審がられるキングオブ不審者といえよう。

砂地を何だかよたよた歩いているキアシマルガタゴミムシは個体数も多いし、お持ち帰りしたくない虫ランキングではかなり上位に位置している。

かなり以前に採集した淀川のキアシマルガタゴミムシのダニ類を観察してみた。
3個体調べてみたが、それぞれのさやばねの下にマヨイダニ科が1個体ずつ、ヒナダニ科が数個体ずつみられた。


マヨイダニ科はツエモチダニの一種 Antennoseius sp. で、この属からはゴミムシ類に便乗する種が世界中で記録されている。




これまで古い昆虫標本から取り出したダニ類に、カビが生えていないことが不思議でしょうがなかったが、ツエモチダニには、クラドスポリウムに似たカビがしっかり繁茂していた。第1脚先端の長毛は本属の特徴の一つだが、長毛に混じってカビが不思議なカタチの毛のふりをしていた。

*注:日本ダニ類図鑑(1980)のカワラモンツエモチダニAntennoseius imbricatus は観察したことがないが、図版を見ると第I脚ふ節にツメを欠き、ツメがあるべきところには先太りのくの字に折れた毛のようなものが描かれている。
淀川のツエモチダニの一種は、図鑑の種と激似だがツメを有する。写真の個体はツメ(前ふ節)があったが、それが外れて節窩からカビが伸びている状態と判断した。

ツメが傷んでいない個体の写真。
便乗するツエモチダニは、第1脚にツメを備える種が多いらしい。








ヒナダニ科は同じゴミムシから取り出しているのに、まったくカビが生えていなかった。
死んでもナゾのカビ止めが効いているのかもしれない。

ゴミムシ類ではいろいろな形態のヒナダニ類がみられるが、
ちゃんと名前が付いている種が多いので、
真面目に調べたら本種も同定できるかも知れない。

胴感毛はシラミダニ科と同じような形状なのに、例の複屈折が見られない。

第1脚のツメと特定の毛の複屈折が目立つ。




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