2017/12/20

迷光

大きな植木鉢の下で、ノコバゼムカデが眠っていた。胴節の背に迷い込んだ光は、何色とも決めがたいキラメキになって反射してくる。



はたして大阪市内の地上で冬を越せるのだろうか?
ずいぶん昔から、大阪市内で静かに勢力を伸ばしているようにみえるムカデだけど、建物の中で見つかる割に、屋外ではあまり採集できていない。
普段は、下水管やその周囲などの、あたたかな地下の空隙で生活しているのではないかと思う。

ビルやマンションに仕掛けた粘着板で、多数捕獲されている現場に出くわすことが稀にあるけれど、穏やかな気性のムカデで、あまり共食いなどはしないため、生息密度が高くなるのかもしれない。
本種の幼体が多く捕まる場所では、オオチョウバエ成虫とか、クロゴキブリもよく捕まるので、たぶんそれらも食べているのだろう。

近頃の多脚類の世界は、身のまわりで見かける種が変化しているほかにも、分類学的な処遇にも変化があって、ずいぶんスッキリした感じになってきたみたいだ。

見たことがない珍種のスジアオムカデ O. striatus が、ノコバゼのシノニムになったなんてコトは、対岸の火事というか害虫駆除屋の立場から隔絶した話だが、トビズムカデ Scolopendra mutilans がオオムカデ  S. subspinipes のシノニムとかってコトについては、わけもなく抵抗感がわいてくる。
少なくとも私は、心情的な理由により、トビズムカデの和名を一生使い続けたい(老害?)。

日本産アカズムカデも幻として完全に消えそうだし。
医学・衛生学情報として、いくつかの専門書にアカズムカデの毒が強いなんて記述があるけれど、日本国内では関係ない話になってしまった。
それにしても台湾や中国では、ムカデ類を世界的な規模で研究してて圧倒されるが、乾燥したムカデにけっこう毒性があるらしいというあたりはホントなのだろうか?もう少し情報を集めてみたい。

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