2016/10/10

キボシカミキリの便乗ダニ

神戸市須磨区産のダニ付きキボシカミキリ Psacothea hilarisを観察した。 Acleris氏の採集品。
ダニは2種類いた。
キボシカミキリの中脚基節付近に付着していた体長約0.2mmの種は、Paracarophena sp.だった。
この属はタマゴシラミダニ科Acarophenacidaeに含まれ、カミキリムシ科やキクイムシ科から記録されている。
日本から、キボシカミキリの卵への寄生状況についての論文がある。
その論文中の種は形態的な記述がほとんどないけれど、今回観察した種とたぶん同じ。






顎体部がのっぺらぼーな雰囲気で、どうやってモノを食べているのかイメージできない。
透過偏光観察すると、硬い鋏角があれば明瞭な複屈折が観察されることが多いが、本種ではなにか小さなものがあるなということしか観察できなかった。

透過偏光観察。矢印位置に何かありそう。

腹部肥大したダニはみられないので、カミキリムシの体表から体液を吸っているわけではなさそう。
昆虫の卵殻にくっついたときは吸汁できるようなので、鋏角 がなにか変わった仕組みになっているのは間違いないだろう。



もうひとつの体長約0.4mmのトゲダニ目は、カミキリムシの体表の決まった場所にいなくて、頭部から腹端までまばらにいた。




菌糸の破片のようなものがみえていた。



マツノカザリダニAmeroseius pinicola Ishikawa, 1972 カザリダニの一種 Ameroseius sp. と同定した。(追記:たぶんこの記事を書いたときはマツダカザリダニと思っていて、和名が似ているマツノカザリダニの学名を誤記したようだ。たが、その後、調べなおしてみるとAmeroseius ulmi と考えられる。)体内に菌類の破片がみられたので、菌食性と思われる。本州、四国、隣国の中国から記録がある。

体表のでこぼこには胞子が入り込んでいて、菌の運搬に役立っているのかも。そういえば菌食性の甲虫にも、やたらと凹凸の激しいのがいる。

どちらのダニも雌ばかりで、さやばねの下にはみられず、便乗ダニと考えた。

2 件のコメント:

  1. はじめまして。
    関西の大学で昆虫の研究をしている者なのですが、
    ブログに登場した、材を食べる昆虫について、ぜひお伺いしたいことがございます。
    メールでご連絡させていただきたいのですが、
    もしよろしければ、下記のアドレスにご連絡をいただけないでしょうか?
    insectphyis@excite.co.jp
    よろしくお願いいたします。

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  2. insectphyis様
    コメントありがとうございます。メールさせていただきました。

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