2016/07/07

北海道産アカアシクワガタのクワガタナカセの一種

クワガタムシの口器周辺にいるコウチュウダニについて、体表生活型なんて言い方は変だと気がついた。どの種類であろうとも、コウチュウダニは体表にしかいない。
口器周辺生活型とか、鞘翅下生活型というふうにこれから呼ぶことにする。


アムール地方のアカアシクワガタ Hemisodorcus rubrofemoratus に付着しているクワガタナカセの一種は、ひょっとしたら北海道にもいるかも知れない、と急に思いついた。
北海道の島牧で採集したアカアシクワガタ H. rubrofemoratus, 1♀が標本箱にあったので、さやばねの下を調べてみた。
島牧?・・・そんな場所でアカアシクワガタなんかを採集したなんてまったく覚えていない・・・やたらとメシがうまい村だった記憶しかない。1988年のお盆休みの採集品だ。

標本のさやばねをこじ開けると、予想どおりのヤツがいた。予想が当たることなんてめったにないが・・・。
記載論文とほぼ同じ形状のコウチュウダニが、第4背板に1個体だけ付着していた。

Uriophela arieli Haitlinger 1991 と同一種、あるいはすごく近い種と考える。
ふ節先端の棘の本数が記載の絵と合わないけれど、胴部や脚の剛毛の本数や長さは記載と合う。


北海道産アカアシクワガタのクワガタナカセの一種
Uriophela sp. 

北海道産アカアシクワガタのクワガタナカセの一種
Uriophela sp. ♂の背面の剛毛



北海道産アカアシクワガタのクワガタナカセの一種
Uriophela sp. ♂の腹面の剛毛。
コクワガタのUriophela sp.ほど、剣状剛毛は長くない。


本州のアカアシクワガタにもいるかも知れないので、そのうちに観察してみたい。

専門家の方々の輸入クワガタムシや、クワガタナカセの生物多様性の論文は、とても興味深い内容なのだけれど、読むたびに説明しがたい違和感が強くなってくる。
日本のコウチュウダニ科におけるクワガタナカセの位置づけとか、どのクワガタムシにどのような生活形の属がみられるというような基礎的な説明がないため、我が国のクワガタナカセの生物多様性がどのようなものかってあたりが、論文から読み取れない。
クワガタナカセは、すごくいろいろいて研究中なので発表できないってことなのか、別にクワガタナカセは論旨の中心にないので、後回しねってことなんだろうか?
面白い分野なので、当方の期待感は半端ない。


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