2015/08/13

ウスチャケシマキムシ

ウスチャケシマキムシ Cortinicara gibbosa (Herbst, 1793)

左が雄、右が雌。
ニコンCoolpix4500で撮影。



おそろしく暑い夏でも、市街地の道ばたなんかで採集できるヒメマキムシ科。
フェンスに絡みついたクズの枯葉をはたいてみたら、たくさん落ちてきた。普通種ぶりは見事なもので、とても多くの国から記録がある。
採集例が少ないヒメマキムシ科の珍種くんたちは、ちょっとくらい本種の生き様をマネしてほしいくらい。
ヒメマキムシ科には一度は採集してみたいけど、日本では多分ムリって種がかなりいる。
クロヒメマキムシ Lathridius minutus とか。



腹面


オリンパスTG-1を借りてコリメート撮影してみたもの。やたら黒っぽい体色になった。
Coolpix4500の色合いのほうが実際に近い気がする。


雄の交尾器。


2015/08/10

Windows10にしてみた。

●機械というのはボタンがあると押したくなるモノだが、パソコンのアイコンも同じで、つい押してしまう誘惑に打ち克つのは容易ではない。
過去、OSのバージョンが上がるたびに、何度もひどい目に遭ってきたにもかかわらず、進歩にたいする興味とかなんとかいいながら、ウィイドウズ10のアップデートをクリックしてしまった。

アップデート直後は、内蔵カードリーダーが動かなくってアセッたが、再起動するとナニモカモ調子よく動き出した。ほんとにドキドキしながらの更新作業であった。4時間ほどかかった。

息子のパソコンだからやってみたのだが、自分のパソコンではこんなこと恐ろしくてできん。





●Megachile不明種の幼虫についてたヒポプス。Vidia lineata Oudemans, 1917(キノウエコナダニ科)と考える。和名はないけど、珍しいモノではなさそう。ヨーロッパからアジアにかけて広く分布している。つるつるでつかみ所のなさを利点とするヒポプスのくせに、後体部背面に妙な縦筋状模様なんかがついていた。





第Ⅰ脚(右)に笹の葉のような大きな剛毛が3本ある。第Ⅱ脚(左)。
爪の長さと前ふ節(透明ぽい部分)が同じくらいの長さ。
前ふ節が長いのは別属になったりする。ヒポプスの分類はややこしい。








*参考文献 Fain A., 1972. Notes sur les hypopes des Saproglyphidae (Acarina : Sarcoptiformes). II. Redéfinition des genres. Acarologia 14: 225-249.

2015/08/07

tokyo




夕方といっていい時間帯から会議というのはよしとしても、場所が東京だというのは大阪の人間にキビシイ。
会議の場に3時間ほどいて、他のほとんどの方々はそのまま飲み会なのに、私は翌日仕事があるのでソッコウ帰阪しなければいけなかった。
プラタナスグンバイの繁栄ぶりをみながら、歩道からの照り返しがきつい外堀通りを八重洲北口に向かってのろのろと歩き、常盤橋の日陰になった小さな公園で一息ついた。ケブカアメイロアリは見かけなかった。
水路の暗い水面もながめてみたが、ムシがなんぞいるような気配はしない。
東大阪の汚い川にだって、同定できない半水生半翅目がいたりするので、ココも調べてみると面白いかも。




700系のぞみをホームのベンチで待っているあいだ、手にノミバエが親しげにまとわりついてきたので採集したった。あとで調べたらコシアキノミバエ Dohrniphora cornuta の雄だった。
ええムシをとった・・・・。





新幹線ホームのムシ限定ドイツ箱をつくったろかいっ!







中脚脛節基部の2本の目立つ剛毛

後脚腿節基部腹側に先端が丸い短剛毛(感覚棘)。
文献では5本以上とあるが4本の個体もいたりする。

短剛毛の拡大
こういう隠れたところにある毛はなんの役に?





2015/07/12

カネでみえるもの

貧乏世界は閉鎖的である。ビンボー空間に存在する生物は、同じビンボー生物とビンボー物質しか認識できない。
ビンボー人はあらゆる富裕的なモノを基本的に認識できないし、間違って富裕空間に迷い込んだりすると、生命の存続すら危険にさらされる。

例えば、莫大な予算で建設が進められていて、最新の工事用機器や高給取りぽい作業者などがひしめいている現場に、われわれビンボー作業者が行くとしよう。訳が分らないモノや用語にとりかこまれて、自分が所属する時空とは異なった法則性などに発狂しそうになるだろう。
ビンボー人は、ビンボーなところでしか仕事ができないし、ビンボーな道具しかあつかえないのだ。

虫に関しても、私のようなビンボー虫屋が、タマにインセクトフェアで高額取引されるような昆虫を見つけることがあっても、標本にするときに手が震えて触角を折ったり、ヒメマルカツオの幼虫にやられたりするのが関の山である。標本箱にはビンボーくさい虫しか並んでいない。

ビンボーだったけど、努力したら金持ちになれたなんて連中は、それはホントのビンボーではなく偽ビンボーに過ぎない。
生粋のビンボー人は、なにかの間違いでまとまったカネを手にしたとしても、すかさず冷蔵庫だのエアコンだのクルマなんかのトラブルに見舞われて、必ず元にもどるようになっているのである。
コレはビンボー保存の法則と呼ばれていて、古事記にも記述されていたような気がする。

えげつないほど高価な工業用デジタルスコープをレンタルして使ってみて、日頃の業務では触れることのできない別次元の世界を覗くことができ、世の中やっぱカネか!なんて思ったので、気持ちが果てしなく荒んできてしまった。

今回借りた機種より、さらに高価な370万円ほどする最新型軽量小型のIPLEXウルトラライトなんぞを片手でもって、木の洞の奥にいる虫やシロアリの巣などを、一度くらいは覗いてみたいものなり。ビンボー過ぎて放浪記風の口調になってきた・・・




今回借りたヤツ。ウチのマイカーより高価・・・。

たしかによくは見えますけどね。
6mm孔を通るカメラでチビナガヒラタムシの坑道が判別可能。




2015/06/22

ふともも内部の板バネ

2010年に此花区のルリキオビジョウカイモドキを当ブログで取り上げたけれど、その後の年にも捕虫器で確認されており、付近の緑地で発生していることはどうやら間違いなさそう。

発生していると考えられる緑地は、ハイネズ(ブルーパシフィック)とキンシバイなどが多く、ケヤキ、クスの若い木が少々と、遊歩道沿いにおきまりのユキヤナギというツマラナソーな人工的環境。
ハイネズとかキンシバイの低い藪のあたりがアヤシイと思うけれど、こういう植物とともにルリキオビも持ち込まれた可能性が大。では、植物はどこからもって来たのかってコトだが、それもヤブの中だ。

3日前に二色の浜海浜公園の近くで仕事があったので、30分ほど公園に寄ってみたけれど、狙いのルリキオビとかニセクビボソムシ科はまったく採集できなかった。ちょっと興味深かったのは、アナタカラダニの不明種がこの公園にも多かったことくらい。

イネ科の雑草をビーティングしていると、2mmを少し超える程度の小さな甲虫が落ちてきた。



オスの交尾器を観察して、ヨモギトビハムシと同定した。まるでテレポートでもするみたいに、瞬間的なジャンプ移動ができるムシだ。
体色が薄い種なので、後脚腿節の中にある濃色の器官が透けて見えていた。

バネ状骨片。弾力性に富み、複雑に折れ曲がった板。


これはノミハムシ亜科の成虫がジャンプするときに重要な役割をするバネ状骨片というもので、保育社の原色日本甲虫図鑑I巻の45ページに解説があるが、テキストで読んでも分ったような分らないような・・・。略図かなにかの解説が欲しいところ。
脚を折りたたんでいるときはバネ状骨片がたわんでエネルギーを蓄えているらしい。ストッパーになっている小さな三角状板を動かすと、バネ状骨片の形状がピョンと元に戻り、その力が脛節に伝わって跳ねるってコトみたい。
オスは後ろばねが退化しているけれど、こんなに跳ねるのなら飛べなくてもよさそう。

バネ状骨片は、カルカッタ大学のサマレンドラ・マウリクが見つけたのでMaulik器官と呼ばれることもある。最初に見つけた人は、外骨格の昆虫に内骨格がある?みたいにスゴク驚いたと思う。ホントにインド人もビックリだったのだろう。

このバネ状骨片はノミハムシ亜科だけではなく、跳ねる能力がある甲虫には広くみられ、系統関係を考える材料にされたりしている。アシナガトビハムシ属 Longitarsus は、バネ状骨片がもっとも複雑な形状の一群と思う。

ヨモギトビハムシの腿節は透明度が高いので、生きた状態でバネ状骨片の動きが観察できそうな気もする。

2015/06/14

掃除機は清潔なもの

●家屋内の清潔さを保つうえで、電気掃除機はなくてはならないモノであり、午前中から昼頃にかけて住宅街で戸ごとにひびく金属的な吸引音が、世の平穏さを示す重要な構成要素でもあることは認めざるを得ない。
ありとあらゆるものからゴリゴリ、ワシャモシャ、ビービューとゴミを除去しているうちに、吸引ノズルはもはやプラスチック成形品などではなくなってしまい、その使用する人の重要な一器官、あるいは手の延長とまでいえる存在に昇華する。掃除機は、穢すべからざる神聖な器具なのだ。

「室内に迷い込んできたクロアリの羽アリは掃除機で吸えばいいですよ。」なんていおうものなら、たいていの主婦からは、恐ろしい顔つきで「掃除機はどうなるんですか?」聞き返される。ムシはどーなるのかという以前に、掃除機が汚染されることが問題になるという点に注意を喚起したい。
うっかりムシを吸ってしまった掃除機はどうなるかというと、それはムシによっても違いがあるが、クロゴキブリなんかだったら大抵が廃棄処分とされる。粗大ゴミ置き場に真新しい掃除機を見かけることがたまにあるが、それらは故障では無く、多分ムシ入りになってしまったが故に泣いて切られた馬謖なのだと思われる。

というようなことをお客さんにたいする注意事項として同僚達と語り合ったりした。







●ミャンマーとラオスに囲まれた某国の田園地帯から回収された光誘引式捕虫器の粘着シートには、とても興味深い虫が沢山ついていた。無数について腐っている羽アリはヒメサスライアリの一種だし、シロアリモドキの一種の有翅虫なんかも混じっている。少なくとも大阪ではみたことないのばかりだ。
変なのが出てくるたびにぎゃーぎゃーいってるので、仕事がはかどらなかった・・・認めたくはないが大損。

鱗毛に覆われたゴミムシダマシの一種 Lepidocnemeplatia sp.



宇宙から落ちてきたムシなんだと思う。たぶんFission sailかなんかの原理で飛んでたんだろう。
ちゃんとした飛べるサイズの後ろばねが畳まれてあるが、そんなもので飛んでるなんてわけがないと思う。こいつもゴミムシダマシの仲間でCossyphus sp.という意見もある。




標本にして残したいムシがいたら、粘着紙ごと切り取ってキシレンに漬けておく。
一週間ほど漬けておくと粘着剤がかなり除去できるが、ムシによってはさらに長期的に漬けておかないとダメなものもある。シロアリモドキの翅脈は意外にシンプル。



4mmほどのカッチョロええゴミムシ。Cymbionotum helferiと思う、ええ虫が混じってたら捕虫紙の虫数え費用割引とかしようかしらなんて、ついアカンことを考えてしまう。
・・・ええ虫ってなんやねん・・・。




2015/06/07

ダニの脳髄


とめどもなく現れるアナタカラダニにたいして、玄関先でしゃがみ込んでキンチョールをかける日課の方々も、6月に入ると敵軍が急速に減少するので、きっと寂しがっていることだろう。
心配しなくても、来年の5月くらいには再びやってくる。



少し前に採集したアナタカラダニを使って、体内の構造を観察してみた。印象的なのは体部前方にある大きくてダニみたいな形の組織だ。体長の4分の1くらいの大きさがある。これは脳とか神経球と呼ばれている。
黄色い点線で囲ったあたりに脳がある。


ダニとタタリ神の雑種みたいだが、脳。


脳から周囲に神経が伸びていて、それそれが口器や脚や生殖器の方に向かっている。どの線がどの足に繋がっているのかなど、ダニの専門書に解説がある。
摘出して生かしておければ、演算素子とかに使えそう。

ダニの脳が、ダニを縮小コピーしたみたいに見えることは、観察するコチラの背筋に何かへんなゾワっとする刺激を与えてくれる。気持ちが良い悪いってコトではなく、説明困難。

なにか知らない奇妙な場所があって、隔絶した峻険さのようなものを感じつつ、チョット足を差し出してはみるけれど、どこにも足がかりがない怖さみたいな・・・。
自分には脳ってもんがあるはずだから、何かを考えたりしていると思う。
でも脳が考えるってどーいう仕組みやねんと、いくら考えても分らないあの循環参照エラーみたいな感覚の方が近いかも。

アナタカラダニは、脳は、人間は、いったいぜんたい、どれもこれもどーなってるのだろう。

炎天下のコンクリート上でアナタカラダニは、なにも考えずにグルグル踊っているとしか思えないけれど、存外、大集団でなにか複雑な思索を巡らしているような気さえしてきた。