2016/01/11

ノミバエの乗手

捕虫器の粘着紙を調べていた同僚が、捕殺されたノミバエの周囲に散らばったダニをみつけた。捕虫器は、海辺の食品工場に設置してあった。
胴体後半が細い変な中気門類だけど、ブログネタにどう?と差し出されて、受け取って観察してみると確かに奇妙な体型だった。




触肢


胸板










昆虫に寄生している状態の中気門類(トゲダニ類)は、よく見かける種は、楕円形とか円形に近い体型をしている。腐葉土から見つかる成虫のトゲダニ類なども、ちゃんと観察したことは少ないけれど、後方が細くなる種ってのは見覚えがない。

ノミバエ類に便乗しているなら、室内塵からみつかることもありそうだ。どこかの文献の図で、似たようなカタチのダニをみたことがあるような気もするので調べておいて損はないだろう。

あれこれとダニ本を調べた挙げ句、ノミバエに便乗していたらしいダニは、イトダニ団の一種の第二若虫と判断した。Uroseiusという属で、成虫は体表に複雑なデコボコ構造があったり、胴体がやや細長いなどの特徴がある。

このダニの仲間はどんなのがいるだろうと思って、日本産ダニ図鑑(1980)を調べてみたら、イトダニ科としてヒルシュマンナガイトダニ Uroseius hirschmanni の成虫の図が載っていた。

いくつかの文献から、Uroseius第二若虫はノミバエ科やミギワバエで見つかり、TrachytidaeとかPolyaspididaeに含まれる種として記録されていることを知った。
a manual of Acarology(2009)では、Dithinozerconidaeという科に含めてあった。
なんにしても、こんな若虫の属を決定した研究者がいるってことに驚く。


第二若虫の1個体を潰してしまったら、体内から線虫らしきものがたくさんでてきた。


ノミバエ類についてたいしたことは知らないし、その便乗ダニについてもよく分からず、ましてや線虫なんてのも理解できない生物だ。
でも線虫にも、昆虫やダニと、ややこしい関係がありそうで面白そう。